
皆さん、こんにちは!兵庫県でギター女子をやっている、さくらです!
元西播磨県民局長による内部告発文書をきっかけに、斎藤知事やその側近たちのさまざまな問題が明らかになった、いわゆる「文書問題」ですが、これについては再び行われた兵庫県知事選挙において、斎藤知事が再選を果たしたことにより、一応の決着を見たかのように思えましたが…
一方で、兵庫県政の混乱は収まる気配がないどころか、さらに強まっているのが現状です。
そうした中、2025年3月15日にTBS系で放送された「報道特集」において、
という、衝撃の事実が報じられました。
あの虚偽動画が、金銭取引を経て制作されていたという点にも驚きですが、何より本件、
という点においても、看過できないものであり、そしてこのことは斎藤知事を連座制適用での失職へと導くきっかけにもなり得るものです。
本日は、兵庫県在住のギター女子・さくらが、クラウドワークスを通じた公職選挙法違反疑惑について、考察してみようと思います。
そもそもクラウドワークスとは
本件について説明する前に、まずそもそも、クラウドワークスとは何なのか、簡単にご説明します。
クラウドワークスの概要
クラウドワークスは、日本で広く知られているクラウドソーシングサービスの一つです。
インターネットを通じて仕事の発注と受注をつなぐ役割を果たしていて、2011年11月に株式会社クラウドワークスによって設立されました。その後、2012年3月から正式にサービスがスタートし、現在では登録ユーザー数が500万人を超えるまでに成長しています。
発注する企業も70万社以上と、
と言えるでしょう。
提供される仕事の内容は非常に幅広く、ライティングやデザイン、プログラミングといった専門的なものから、データ入力のような簡単な作業まで、250種類以上のカテゴリーがあります。

基本的な仕組みとしては、クライアントが仕事を募集し、それに対してワーカーが応募するかたちで進められ、報酬は仕事が終わった後に支払われますが、そこから5~20%の手数料が差し引かれます。
初心者から高いスキルを持つプロフェッショナルまで、さまざまな人が利用しているのが特徴ですが、仕事の単価が安かったり、案件の質にムラがあったりするため、利用者からは賛否両論の声が上がっているのも事実です。
クラウドワークスの課題
クラウドワークスには、かねてからいくつかの問題点が指摘されていました。
まず、多くのワーカーが気にするのが、報酬の低さです。特に初心者向けの案件だと、時給に換算して数百円程度にしかならないこともあり、働いた時間や労力に見合った収入を得るのが難しいと感じる人も少なくありません。

また、クライアントとの間でトラブルが起こるケースもよく耳にします。たとえば、仕事の内容が曖昧だったり、納期があまりにも厳しかったりすると、ワーカーが困ってしまうことがあります。
さらに、報酬から引かれるシステム利用料も利用者にとっては大きな負担です。報酬が10万円以下の場合、手数料は20%となり、たとえば5,000円の仕事なら手元に残るのは4,000円だけになります。その上、銀行への出金時には振込手数料もかかるため、実際に受け取れる金額はさらに減ってしまうのが現状です。

メルカリやココナラもそうですが、手数料で収益が目減りしてしまうのは、この手のサービスの宿命ですよね…。
利用の広がりと影響
クラウドワークスは、副業を始めたい人やフリーランスとして働きたい人にとって、手軽に仕事を見つけられる便利な手段として注目されてきました。
特にコロナ禍で在宅ワークの需要が一気に高まった時期には、登録者数が急増するなど、多くの人に利用されるようになりました。
一方、課題も見えてきており、中には悪質な案件が混ざっていることもあり、違法性のある依頼や詐欺に近いものに遭遇したという報告も出ているなど、安易に利用することにリスクがあるのも事実です。
しかし、そうしたクラウドワークスの問題点やリスクは、あまり意識されることのないまま、「ちょっとしたお小遣い稼ぎ」の感覚で、多くの人に利用されていた…
これが、偽らざる実態かと思います。
クラウドワークスでデマ・誹謗中傷動画が制作されていた
さて、2025年3月15日のTBS「報道特集」において、そんなクラウドワークスを通じて、兵庫県知事選挙のデマ・誹謗中傷動画が大量に制作されていたという事実が報じられました。
具体的には、
政治系の動画制作を依頼する案件がプラットフォーム上で募集され、ワーカーと呼ばれる人々が報酬を受け取って動画を作成していた
という事案です。



そういえば、クラウドワークスで兵庫県知事選挙関係の案件が募集されていたのは、選挙期間中にも指摘されていましたよね。
たとえば、
といった文言が掲示され、一本あたり数千円から数万円の報酬が提示されていたようです。


その流れはシンプルで、クライアントが仕事を依頼し、ワーカーが指示に従って動画を撮影したり編集したりして納品します。
完成した動画はYouTubeなどにアップロードされ、拡散されていくのです。
※「報道特集」より
兵庫県知事選では、立花孝志氏に関連する動画が約1500万回再生された一方、斎藤元彦知事の公式チャンネルは約119万回と大きな差が生まれました。
こうした動画には事実と異なる情報や過激な表現が多く含まれ、視聴者の感情を煽るものが目立っていたのです。
Xでも「クラウドワークスが違法な選挙応援動画の発注を許している」との批判が飛び交い、問題の深刻さが話題になりました。
デマ拡散の背景と竹内元県議の証言
この問題が明るみに出たきっかけの一つに、2025年1月に亡くなった竹内英明元県議の存在があります。


竹内さんは生前、親しい県職員に「選挙運動として動画をネットで拡散するなんて異常だ」と強い懸念を漏らしていました。
彼がLINEで送ったメッセージには、クラウドワークスで見つけた動画制作の募集広告への違和感が綴られていました。
「誰が資金を出しているのかわからない」「気持ち悪いことが多すぎる」と、選挙の公正さを脅かす状況に苛立ちを感じていたのです。
竹内さん自身も誹謗中傷の標的となり、精神的な負担を抱えていたと言われています。


問題の根深さは、動画が個人の意見ではなく、報酬を伴う「仕事」として組織的に作られていた点にあります。
取材に応じたワーカーの一人は「立花さんを応援する気はなく、ただ第三者として撮影しただけ」と話しています。
つまり、政治的な意図がない人までもが収入目的で参加し、結果としてデマや中傷が広がる一因となっていたのです。
報道特集では
「極端なコンテンツほど見られやすい」というネットの特性が、この状況を悪化させた
と指摘しています。



「大きなウソほど信じられる」は、ヒトラーが使っていた手口なんですよね…
クラウドワークスでの動画発注・受注は公選法違反?
さて、今回のクラウドワークスを通じたデマ・誹謗中傷動画発注事案については、それ自体も非常に大問題ですが、もう1つ、非常に重要な別の論点があります。
それは、
今回の動画は、対価を伴う選挙運動であり、公職選挙法違反のおそれがある
ということです。
公職選挙法第221条は、金銭、物品、供応接待などによる票の獲得や誘導を禁じています。
公職選挙法(抜粋)
(買収及び利害誘導罪)
第二百二十一条 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮こ又は五十万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。
三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。
四 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し又は第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。
五 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
そして、この「票の獲得や誘導」については、業として…すなわち報酬を得て行う選挙運動についても該当することになります。
従って、
兵庫県知事選挙に関連して、クラウドワークスで動画を発注した人、受注した人は、公職選挙法違反で摘発されるおそれがある
ということになるのです。
お小遣い稼ぎの受注者も公選法違反になり得る
受注した人は、クラウドワークスでのちょっとしたお小遣い稼ぎのつもりだったのかもしれません。
でも、実はそれは「お金をもらって選挙運動をした」ということになり、公職選挙法違反になってしまう…という、とんでもないことになっていたのです。


もちろん発注者もアウト…場合によっては連座制での斎藤知事失職も
そして、もちろん発注者も、お金で選挙運動を買おうとしたことになり、これもまたアウトなわけですが…
気になるのは、
この発注者が誰か
というところ。
なぜこれを気にするかというと…
もし、この発注者が、「組織的選挙運動管理者等」に該当する場合、当該発注者が執行猶予含めて禁固刑以上の刑事罰が確定すると、連座制が適用されて、斎藤知事は失職する
からなのです。
おそらく、動画制作の受注者が仮に公選法違反で摘発されても、この「組織的選挙運動管理者等」に該当することはないでしょうが、発注者は別。
もし発注者が、斎藤陣営における組織的選挙運動管理者等に該当するのであれば、本件の捜査をきっかけに斎藤知事が失職する展開も、十分に考えられるのです。



このあたりのロジックは、別記事で書いたメルチュ事案での解説が参考になると思いますので、ぜひご覧ください!


まとめ
以上、本日は、報道特集で明るみになった「クラウドワークスでのデマ・誹謗中傷動画制作」について、解説させていただきました。
クラウドワークスを利用して行ったデマ・誹謗中傷の動画制作は、それ自体も非常に由々しき事態ではありますが、本件について特に注目すべきは、
- クラウドワークスでの動画制作案件は、発注側も受注側も公職選挙法の「買収罪」が適用される可能性があること
- 仮に発注側が「組織的選挙運動管理者等」に該当すれば、連座制適用で斎藤知事の失職もあり得るということ
の2点です。
クラウドワークスは、一般的には「ネットを利用した、ちょっとしたお小遣い稼ぎ」のような形で利用されることが多いわけですが、そこでこういった「違法性を帯びた案件」の募集がかかっていて、安易にそれに手を出した人が、公職選挙法違反を問われるおそれのある状況に陥っている…。
なお、クラウドワークスは、今回の件を受けて、ガイドラインの見直しを行ったとのことですが、選挙期間中の大混乱を、大手プラットフォームとして放置していた点についての批判は免れません。
日々、新しい問題が発生して、混迷が深まる兵庫県政。このままで、大丈夫とは、どうしても思えません。
どのようにすれば兵庫県政が正常化するのか…日々、悶々としながら過ごしています。