皆さん、こんにちは!兵庫県でギター女子をやっている、さくらです!
11月17日に行われる予定の、兵庫県知事選挙。その候補者の中で、特に有力と目されているのが、前尼崎市長の稲村和美さん。
しかし、SNSを見てみると、稲村さんには、「左翼」だの「既得権益」だの、いくつかのネガティブ要素があり、それを対抗馬に指摘されているようです。
果たして、稲村さんのネガティブ要素とは何で、実際のところはどうなのか…。
本日は、兵庫県在住のギター女子・さくらが、稲村和美さんのネガティブ要素について、本当なのかどうかを、検証してみようと思います。
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稲村和美さんのネガティブ要素
SNSを見ていると、兵庫県知事選挙における稲村和美さんのネガティブ要素として、次のような項目が挙げられているようです。
- 稲村和美は「緑の党」に所属する極左である
- 稲村和美は公務員を守る、既得権益側の人間である
- 稲村和美は井戸元知事派である
- 稲村和美は尼崎でUSBを紛失して個人情報を流出させた
しかし、これらについて、よく調べていくと、どうもいずれも真実ではなさそうです。
以下、それらについて検証していきましょう。
【検証①】稲村和美は政治的には中道である
稲村さんについては、「緑の党」のサポーターに属しており、この「緑の党」が、リベラル系論客で知られる丸尾牧県議会議員も属する政治団体であることから、「稲村和美は極左である」といった主張の根拠として用いられることがあります。
しかし、稲村さんは、市長時代には自民党や公明党といった与党系会派ともうまくやっており、尼崎市議会において不信任案を出されたり議案を否決されたりといったような事案は起こっていません。
また、後述しますが、日本維新の会の「身を切る改革」を彷彿とさせる、自身や公務員の待遇に切り込む行政改革にも積極的に取り組んでおり、
稲村和美さんは、政治姿勢的には「極左」ではない
ということは明らかです。
おそらく、若かりし頃に「緑の党」にかかわっていた経緯があることから、そこを取り上げてそうしたレッテル貼りをする勢力があるようですが、市長就任後は緑の党の活動から退き、そうした活動にはかかわっていないことが、改めて明言されています。
私は今回の選挙にあたり、そしてこれまで5回の選挙のいずれも、特定の政党から公認や推薦を受けない「無所属・無党派」を貫いています。(なお、以前は緑の党の活動に参加した期間がありましたが、尼崎市長就任後は議決権のないサポーター会員になっており、特に活動はしていませんし、今回の選挙にあたっても同党から公認や推薦を受けていません)
※「ともにつくる兵庫みらいの会」中「みなさんの質問に答えます」より
【検証②】稲村和美は「既得権益」に切り込むスタイル
続いて、稲村和美さんについては、「改革を志向する斎藤元知事」との対比といった視点から、「既得権益を守るタイプの政治家」であるというレッテルを貼られることがあります。
しかし、
稲村さんの尼崎市長時代の取組を見ている限り、どこをどう見ても既得権益を守るタイプの政治家には見えない
のです。
稲村さんの尼崎市長時代の取組を見てみましょう。
市営バス事業の廃止⇒民営化
尼崎市では、地方公営企業だった尼崎市交通局を廃止し、市営バス事業を阪神バスに譲渡する形で民営化しました。
こういった「公営企業の民営化」は、大阪市で取り組まれたものと、まさに同じ。
しかも、大阪市の交通局民営化は平成30年に実施されましたが、尼崎市での市バス民営化は平成28年と、大阪市よりも2年も早く実現していたのです。

稲村さんは、ある意味において「維新的な改革」を、維新より先にやってのけた政治家だと言えそうです。
公立保育所の民間移管
尼崎は、かつては数多くの公立保育所があったそうですが、公立保育所を多く抱えることは自治体の財政的にも大きな負担になる上、民間活力の活用を通じてより柔軟な保育サービスができればとの考え方からか、公立保育所の民間移管が進められています。
これもまた、行政改革の一環として進められているものであり、「既得権益と戦う」タイプの政治であるといえるでしょう。
職員数の削減
尼崎市は、厳しい財政難であったことから、職員数を減らすことを通じて人件費を抑えなければならない状況にありました。
そこで稲村さんは、職員数の削減にも取り組んでいます。
稲村さんの任期期間中に取り組まれた行政改革計画では、「職員数500人の削減」がうたわれており、職員数の縮減にも取り組んでいます。
なお、職員数については任期末期になると増えてきているのですが、これは先述の民営化した旧交通局職員の一部を受け入れたり、児童相談所の設置に向けて新たな職員を採用したりといった事情があるようです。



【検証③】稲村さんは県議時代井戸知事の予算案に反対していた
これもまた、改革を志向する斎藤元知事を支援する立場の人々から、「稲村さんは井戸元知事派の人間だ」というようなレッテル貼りをされていることがあります。
しかし、稲村さんは兵庫県議会議員時代、無所属議員であり、どちらかというと井戸元知事とは対立構造にあったような記憶があります。
その記憶を確認するため、兵庫県議会の議事録を見てみましょう。
平成19年 2月第290回定例会(第8日 3月15日)
No.17 いなむら和美議員第1号議案、平成19年度一般会計予算案に反対の立場から討論を行います。
平成19年度当初予算の編成においても、昨年度以上、そして当初見込み以上の収支不足が発生しており、大変厳しい状況だということは、この場におられる皆様もご承知のとおりです。確かに阪神・淡路大震災はだれに責任があるわけでもない自然災害でした。国の地方交付税の削減も極めて一方的だと思います。しかし、たとえそうであっても、私たちは、真に必要な住民サービスを確保し、県民の生活を守るための責任ある行財政運営に取り組まなければなりません。震災や交付税の削減が県の財政に大きく影を落としていることは間違いないとしても、それはそれとして、今、私たちにこの困難をみずから打開していく努力が求められているのも事実だと思います。そして、そういった取り組みや努力が、国に対して制度の是正などを迫っていくときの説得力にもつながると思います。兵庫県の行財政改革は、もはや待ったなしだというのが現実ではないでしょうか。
しかし、平成19年度当初予算では、せっかく18年度補正の緊急対策で残高を回復させた県債管理基金を、またもや多額に一時借用せざるを得なくなっています。また、昨年の予算に対する討論でも述べました県債の発行も、十分には抑制されていません。発行額は前年度に比べて減っていますが、退職手当債や資金手当債等の活用により、発行残高を減らすには至っていません。平成19年度予算は、本格的な歳出の削減や抜本的な収支不足の解消に踏み込んだ予算にはなっていないと言わざるを得ないと思います。
知事ご自身も、予算委員会の答弁の中で、ポスト行財政構造改革に向けての検討をまさに19年度から始めようとしており、当初予算では改革のスタートはまだ十分には切れていない、ただし、これから抜本的な見直し作業を本格化させていくための準備は進めてきたと述べられたとおり、本格的な改革は今後に控えているポスト行財政構造改革にゆだねられました。
私も、人件費や事業の見直しを抜本的に進めるためには、つけ焼き刃ではなく、きちんと時間をとって議論をし、合意形成をしていくことが必要だと思っています。それでも、今回、私があえて予算に反対としたのは、今後の行財政改革に残した宿題の重みを、私自身も含めて、改めて確認しておく必要があると考えたからです。
支える側の現役世代が減少し、支えを必要とする人がふえる少子・高齢社会を迎える今、財政改革を先送りすればするほど問題は大きくなり、そのツケは先送りした以上の重みとなって市民・県民に回ってきます。これから取り組むべきポスト行財政構造改革の厳しさを考えれば、苦しいながらも、もう一歩踏み込んだ19年度予算であってもよかったのではないかと思うところです。私たちは、改めてポスト行財政構造改革に積み残された課題をしっかりと整理し、その大きさを受けとめておかなければならないと思います。
県議会においても、財政の健全性に対するチェック機能はもちろん、未来への責任を果たす持続可能な予算への転換に向けて、活発な議論と県民への説明責任、そして、これまで以上の知恵と工夫が求められるということを私自身も肝に銘じ、平成19年度一般会計予算に対する反対討論とさせていただきます。(拍手)
※兵庫県議会ウェブサイト「議事録検索」より作成
このように、稲村さんは、井戸知事が提案した当初予算案に、はっきりと「反対」の立場を示しています。しかも、その理由が



と、「行革が足りない」という、およそリベラル志向とはほど遠い理由で、です。
一方で、改革の進行にあたっては、



とも発言しており、「力づくで改革するのではなく、しっかりと議論して、合意形成をしていくことが必要」という、まさに今も稲村さんが主張している
対話と信頼なくして改革なし
の考え方が、ここからも読み取れるのです。
【検証④】尼崎USB紛失事件は業者のミスだが責任をとった
2022年、特に関西で大きな話題・問題となった「尼崎USB紛失事件」。
これは、尼崎市民全員の個人情報が入ったUSBメモリーを、市の受託業者が飲み会の帰りに紛失してしまった、というものです。
実際のところは、USBメモリーにはパスワードが設定されていた上、ほどなくして紛失したUSBも見つかっており、情報流出の実害こそなかったものの、個人情報を扱う地方自治体としてのセキュリティ意識が強く問われるものとなりました。
しかしこれ、確かに最終的には市の責任になるとはいえ、誰がやらかしたかというと、市長でもなければ市の職員でもない、市の業務を受託した業者なんですよね。
しかし稲村さんは、発注者としての市の責任を認め、市長のボーナスを全額返上するとともに、担当部局の幹部職員に対しての懲戒処分を行っています。
あわせて、本件の対応に要した経費について、業者に対して損害賠償の請求も行っているのです。
確かにUSB紛失事件は衝撃的な事件ではありましたが、稲村さんは自身でも責任を取ったし、部下である幹部職員にも、情報を紛失した業者にも責任を取らせるなど、起こったことを重く受け止めた対応を行っています。
むしろ、この「不祥事が起きたときの姿勢」こそ、今の兵庫県に必要なもののような気がしてなりません。



まとめ
以上、本日は、SNSで見える稲村和美さんのネガティブな要素について、実際のところはどうなのか、公式情報などを参照しながら、検証を行ってみました。
稲村さんのネガティブな情報として、
- 緑の党に属する極左である
- 既得権益を守るタイプである
- 井戸元知事派である
- USB問題をやらかした人である
という4つが主に言われますが、公式情報などをよく見ていくと、それらは断片的な情報から判断された、必ずしも真実とは言いがたいものが含まれているように感じます。
なお、今回、私もこの記事を執筆するにあたり、マスメディアの記事やSNSの投稿ではない、さまざまな「1次ソース」に触れましたが、それらに触れることで、非常に大きな学びを得ることが出来ました。
当サイトでは、「1次ソース」に触れることにこだわりながら、今後も兵庫県のことを考えていきたいと思います。