皆さん、こんにちは!兵庫県でギター女子をやっている、さくらです!
選挙終了後もなお物議を醸し続ける兵庫県知事選挙ですが、1月7日、稲村和美市長の支援にまわった兵庫県内22市長に対して、公職選挙法違反だと主張して告発する動きがありました。
この動きは、代理人弁護士が記者会見を行ったことで一定ニュースになりましたが、この告発、果たして意味があるのでしょうか。
本日は、兵庫県在住のギター女子・さくらが、22市長に対する告発について、考察しようと思います。
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22市長への刑事告発とは
元西播磨県民局長の内部告発文書による県政の混乱、いわゆる「文書問題」に端を発して起こった、2024年の兵庫県知事選挙。
そんな先日の兵庫県知事選挙は、事実上前職の斎藤元彦氏と、前尼崎市長の稲村和美氏による一騎打ちとなりました。
当初は稲村和美氏が有利とされていましたが、NHKから国民を守る党の立花孝志氏が、当選を目的としない立候補を行い、いわゆる「2馬力選挙」の形で斎藤元彦氏の支援を行ったほか、SNSにさまざまなデマや誹謗中傷が飛び交う中で稲村和美氏の主張がゆがめられ、最終的に斎藤元彦氏が再選されるに至りました。
斎藤元彦氏が再選も、公職選挙法違反で刑事告発
しかし、そんな斎藤元彦氏の再選に際しては、
- SNSを業務として発注した公職選挙法違反の疑い
- 当選を目的としない「2馬力選挙」の問題
- 百条委員会の委員に対する誹謗中傷や脅迫、威力業務妨害など
といった疑惑が次々と起こり、
斎藤元彦知事は、公職選挙法違反の疑いで刑事告発を受けている
という状況にあります。
斎藤氏支持勢力が22市長を刑事告発
一方、斎藤氏を支援する勢力は、この動きに対して、まるで対抗するかのように、稲村和美氏を支援した22市長に対して、公職選挙法違反の疑いでの刑事告発を行いました。
昨年(2024年)11月の兵庫県知事選挙をめぐって、投開票日直前に兵庫県内の22市長(※)が、候補者の1人、稲村和美氏への支援を表明したのは公職選挙法に違反するとして、兵庫県内の元市議が7日、神戸地検と兵庫県警に刑事告発した。
刑事告発したのは、元兵庫県川西市議の女性(60代)。
(略)
告発した女性の代理人・徳永信一弁護士が同日、会見を開き、選挙期間中の現職市長による候補者への支援表明は、公職選挙法に定める「公務員の地位利用による選挙運動の禁止」に抵触すると指摘。
さらに、「(有志とはいえ)市長会を名乗った選挙活動は、市長(公務員の特別職)の地位による特定候補者の支持表明と言わざるを得ない」などと述べ、「市長による選挙活動としては一線を越えた」と批判した。
※支援した22市長~姫路市、尼崎市、西宮市、洲本市、伊丹市、相生市、加古川市、たつの市、赤穂市、宝塚市、三木市、高砂市、川西市、小野市、加西市、丹波篠山市、丹波市、南あわじ市、朝来市、淡路市、宍粟市、加東市
※ラジオ関西ニュース記事より引用
代理人を務めた徳永弁護士が記者会見を行ったこともあって、この動きは一定ネットニュースにも取り上げられるなど、多くの人が知るところにはなっています。
刑事告発者、代理人弁護士は…
ところで、今回の告発を誰が行ったかという話なのですが、告発状には、
告発人氏名:中曽千鶴子
告発代理人:徳永信一
との名前が記されており、この書類はSNSなどで公に示されています。
告発人の中曽千鶴子氏は、元川西市市議会議員で、NHKから国民を守る党から参議院議員選挙にも立候補した実績のある、NHKから国民を守る党の関係者。
また、告発代理人の徳永信一氏は、統一教会にかかわる訴訟で教団側の代理人を務めた実績があります。また、SNSでかねてから斎藤元彦氏を擁護する立場での発言を繰り返しているなど、斎藤氏サイドの立ち位置を明確にした論客でもあります。
22市長への刑事告発はまともに向き合う必要なし
しかし、この22市長への刑事告発については、ニュースにこそなっているものの、まともに向き合う必要は全くないと考えています。
それはなぜか。以下に示します。
22市長の動きは「公職選挙法違反ではない」と県選管が説明済み
今回の22市長の告発は、「市長としての地位を利用した選挙活動であり、公職選挙法違反である」というのが考え方として示されています。
この考え方については、22市長による稲村和美候補への支援が明らかになったときから、対抗勢力が一定主張してたものではありましたが…
一方で、今回の選挙を管轄する兵庫県選挙管理委員会は、
22市長による支援は「公職選挙法違反に当たらない」という見解
を示しています。
これについては、選挙期間中に県選管に取材が入っており、その中で県選管は考え方を明らかにしています。
選挙区内の市長らが稲村氏への支持を表明したことについて、兵庫県選挙管理委員会の事務局は11月15日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。
「あくまでも22人の市長が特定の候補を支援すると表明しただけであり、公選法第136条の2で定められた地位利用の禁止に該当しないと考えています。市長など特別職公務員も対象になりますが、投票してくださいと呼びかけたわけではなく、支持しますと言っていました。地位利用とは、補助金交付や融資の斡旋などの職務権限がある公務員が、他の公務員や業者らに投票を呼びかける行為になります」
市長会を名乗ったことについても、任意団体であることから、公選法には関係ないとした。
※J-CASTニュースより
上記にあるように、
であり、今回の22市長による記者会見の態様が、これらに当たらないことは自明です。
このあたりの考え方は、公職選挙法の逐条解説のほか、各自治体選管のホームページなどにも示されています。
なお、一般的に選管は、公職選挙法違反を疑われるような行為に際して問われた際、
個別事案に関する件は、最終的には警察の判断になります
と、自らで結論を出すことを避ける傾向にあります。
そうした中で、本事案については、選管のレベルではっきりと「公選法に抵触しない」という見解を示している点は、注目に値すると言えるでしょう。
この判断には間違いがないと見ている、ということなんでしょうね。
これがダメなら吉村知事の活動も全部ダメ
なお、仮に今回のような
というふうに主張するなら、
吉村大阪府知事が各種選挙において行っている活動も、同様に全部ダメ
という話になります。
たとえば、こんなの。
このように、
のです。
今回の件について、私は「維新はけしからん」「吉村知事はけしからん」などと言うつもりは全くありません。
なぜなら、こういった行為が公職選挙法に抵触しないという事実は、既に選挙関係者の間では公知の事実となっていて、そういった選挙活動が行われることは全く問題がないから。
適法であり、かつ政党や政治的立場を超えて広く使われている選挙運動の手法に、果たして何の問題があるのでしょうか。
まとめ
以上、本日は先日の兵庫県知事選挙において、22市長が稲村候補者を支援した件にかかる刑事告発について解説させていただきました。
これまで述べたように、
- 22市長による稲村候補者への支持表明は、公職選挙法に照らして全く何の問題もない
- このことは兵庫県選挙管理委員会のお墨付きを得ている
- なお、首長による特定候補者の応援は、維新含め、広く一般に行われている
ということであり、本件は、世間一般において広く行われている、ごく普通の選挙運動なのです。
徳永弁護士は、本件について
一線を越えている
ということをおっしゃっています。個人の感覚の中で、どこかに線を引き、「線を越えている」と思うことに関しては自由だと思うのですが、告発という法的行為に至った以上、
その「線」は個人の感覚ではなく、公職選挙法の条文とこれまでの運用、そして判例
になります。
今回の刑事告発において提示された事案が公職選挙法に触れていないことは、これまで述べてきたように自明ではあるのですが、今回の告発が行われたことによって
- 無実の罪で告発されたことによる22市長の精神的負担と事務方の対応コスト
- 余計な告発文書をチェックさせられる警察・検察の事務コスト
- 余計な記者会見をさせられたことによるマスメディアの事務コスト
- 誤解を生む記事がネットニュースになったことによる大衆への無用な混乱
といったように、社会に余計な負荷をかけ、余計な混乱を招いたという面は否めないでしょう。
今後、警察・検察において告発内容が精査されることになりますが、おそらく本件は「何の問題もなし」で決着することになります。
本件、なまじネットニュースになったことにより、妙な理解をしている人が多そうな気がしますが、実態を正しく理解して、落ち着いて対応いただきたいと思います。