マイナンバーカード、スマホで使えるって本当?その疑問、解消します!
「マイナンバーカードがスマホに入るって聞くけど、それって一体どういうこと?」「スマホで使えるようになったら、どんな良いことや困ることはあるの?」「iPhoneだけじゃなくて、Androidは対応しているの?」
こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな皆さんの疑問を解消するために、マイナンバーカードのスマホ搭載の仕組みから、利用する上でのメリット・デメリットまで、分かりやすく解説していきます。
マイナンバーカードのスマホ搭載とは?基本機能と仕組みを徹底解説
マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、国民のデジタル生活を飛躍的に向上させる画期的な取り組みです。これは、物理的なマイナンバーカードを持ち歩くことなく、スマートフォン一つで本人確認や行政手続きを完結できる環境の構築を目指すものです 。
政府はこの機能を「デジタル社会のパスポート」と位置付け、様々な行政手続や民間サービスのオンライン申込、さらには保険証や図書館カードとしての利用拡大を進めています 。
この機能が実現することで、これまで必要だったICカードリーダーによるマイナンバーカードの読み取りが不要となり、生体認証などを利用して簡単にログインできるようになります。
これにより、場所や時間を選ばずに様々なサービスを利用できる利便性が提供されます 。

電子証明書機能:署名用と利用者証明用の違い
マイナンバーカードのスマートフォン搭載の核となるのは「電子証明書機能」です。これは、マイナンバーカードのICチップに格納されている電子証明書(署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書)をスマートフォン上で利用できるようにするものです 。
「スマホ用署名用電子証明書」は、オンラインでの契約や行政手続きにおいて、文書が本人によって作成されたことを証明する電子署名に利用されます。例えば、確定申告の電子申請などでその効力を発揮します。一方、「スマホ用利用者証明用電子証明書」は、オンラインサービスへのログイン時など、利用者が本人であることを証明するために使われます。マイナポータルへのログインなどがこれに該当します 。
これらの電子証明書は、オンラインでの本人確認や電子署名に利用される「デジタル社会のパスポート」としての重要な役割を担っています 。特に、スマートフォン搭載後は、パスワード入力の代わりに顔認証や指紋認証といったスマートフォンの生体認証機能を活用できるようになり、利便性が大幅に向上します 。これにより、パスワードを忘れる心配が減り、よりスムーズなデジタル体験が期待されます。
券面情報送信機能(属性証明機能):iPhone先行搭載の背景
電子証明書機能に加え、もう一つの重要な機能として「券面情報送信機能」、通称「属性証明機能」があります。これは、氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー、顔写真といったマイナンバーカードの券面に記載されている情報を、相手方に送信して本人確認を行う機能です 。
この属性証明機能は、2025年7月にiPhoneで先行して搭載される予定です 。これにより、銀行や証券会社の口座開設、携帯電話の新規契約など、これまで対面での本人確認が必要だった場面でも、スマートフォンだけで手続きが完結できるようになります 。Android端末についても、同様の機能の早期実現に向けてデジタル庁がGoogleと連携して取り組んでおり、今後の展開が注目されます 。この機能は、物理的なカードの提示が不要となるため、日常生活における様々なシーンでの利便性向上が期待されています。
スマホ搭載で広がるメリット:利便性と活用シーン
マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、個人のデジタルライフをより便利で効率的なものに変革します。物理的なカードの携帯が不要になるだけでなく、様々な行政サービスや民間サービスへのアクセスが格段に容易になります。
マイナポータル・コンビニ交付がもっと手軽に!
スマートフォンにマイナンバーカード機能が搭載されることで、マイナポータルの利用が格段に手軽になります。これまではマイナポータルにログインする際に物理的なマイナンバーカードをカードリーダーにかざす必要がありましたが、スマホ搭載後は生体認証(顔認証や指紋認証)だけでログインが可能になります 。これにより、通勤中や外出先など、いつでもどこでも自分の情報にアクセスできるようになります 。
マイナポータルでは、薬剤情報、特定健診情報、母子健康手帳情報、税金や年金の記録の確認、さらには引越し手続きなどの様々な行政サービスが利用できます 。これらの情報がスマートフォンで手軽に確認できるようになることで、子育て支援の申請や給付金の申請なども、時間や場所を問わず行えるようになり、行政手続きのオンライン完結がさらに促進されます 。
また、コンビニエンスストアでの各種証明書(住民票の写しや印鑑登録証明書など)の取得も、スマートフォンだけで完結できるようになります 。全国のコンビニ等で早朝・夜間・土日祝日も利用できるため、役所窓口に行く手間が省け、多忙な現代人にとって大きな利便性となります。
マイナ保険証・マイナ免許証への展開と未来
マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、将来的に国民生活にさらに深く浸透していくことが期待されています。その最たる例が「マイナ保険証」と「マイナ免許証」への展開です。
マイナ保険証としての利用は、iPhoneとAndroidスマートフォンの両方で、2025年7月に一部医療機関で試行運用が開始され、同年9月頃には準備が整った医療機関で本格運用が始まる予定です 。これにより、スマートフォンを医療機関のカードリーダーにかざすだけで、健康保険証として利用できるようになり、物理的な保険証を持ち歩く必要がなくなります 。医療機関側にも、受付業務の負担軽減、医療保険の事務コスト削減、患者情報の閲覧による適切な診療といったメリットがもたらされ、社会全体の医療DX推進に貢献します 。
さらに、運転免許証との一体化、通称「マイナ免許証」も検討が進められています 。デジタル庁は警察庁と連携し、早期実現に向けて取り組んでおり、将来的にはスマートフォン一つで身分証明が完結する社会が実現する見込みです 。
各種民間サービスでの本人確認
マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、行政サービスに留まらず、幅広い民間サービスでの利用拡大も目指しています。これにより、オンラインでの本人確認がより手軽かつ確実に行えるようになります。
具体的には、銀行や証券会社の口座開設、携帯電話の契約、キャッシュレス決済の申し込み、さらにはコンビニエンスストアでの酒類やたばこ購入時の年齢確認など、多岐にわたるシーンでの活用が想定されています 。これらの手続きにおいて、これまで必要だった物理的な書類の提出や窓口への訪問が不要となり、スマートフォン一つで完結できる利便性が提供されます 。これにより、ユーザーは時間や場所にとらわれずに、必要な民間サービスをスムーズに利用できるようになるでしょう。

(参考:警察庁「「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集について」概要資料)
表1:スマホ用電子証明書で利用可能な主要サービス一覧
カテゴリ | サービス例 | 詳細 |
行政サービス | マイナポータル | 税・年金記録の確認、薬剤情報、特定健診情報、母子健康手帳情報、引越し手続きなど、自己情報の確認・提供、オンライン申請 |
コンビニ交付サービス | 住民票の写し、印鑑登録証明書など各種証明書の発行 | |
各種行政手続きのオンライン申請 | 子育て関係の申請、給付金申請など | |
医療・健康 | マイナ保険証 | 医療機関での本人確認・保険資格確認(2025年7月試行、9月本格運用予定) |
薬剤情報・特定健診情報閲覧 | マイナポータル経由で自身の健康情報を確認 | |
民間サービス | 銀行・証券口座開設 | オンラインでの本人確認 |
携帯電話契約 | オンラインでの本人確認 | |
キャッシュレス決済申込 | オンラインでの本人確認 | |
年齢確認 | 酒類・たばこ購入時など | |
その他 | マイナ免許証 | 運転免許証との一体化(早期実現に向け検討中) |
あなたのスマホは対応してる?iPhoneとAndroidの最新状況と開始時期
マイナンバーカードのスマートフォン搭載に関して、多くのユーザーが最も関心を寄せるのが、自身のスマートフォンが対応しているかどうか、そしていつから利用できるのかという点です。AndroidとiPhoneでは、機能の提供時期や一部機能の有無に違いがあるため、これらの情報を明確に理解することが重要です。これにより、ユーザーは自身のデバイスで何ができるのか、いつから利用できるのかを具体的に把握し、混乱を避けることができます。
iPhoneユーザーの方へ
iPhoneへのマイナンバーカード機能の搭載は、2025年6月24日から「iPhoneのマイナンバーカード」として開始される予定です 。この機能は、マイナンバーカードの情報をマイナポータルアプリからAppleウォレットに追加することで利用できるようになります 。
iPhoneに搭載される機能は、Androidで先行導入された「電子証明書機能」と同等であり、顔認証や指紋認証でマイナポータルへのログインやコンビニでの証明書交付が可能になります 。さらに、iPhoneでは「券面情報送信機能(属性証明機能)」も同時に提供される予定です 。これにより、氏名や生年月日などの券面情報を送信して本人確認を行うことが可能となり、銀行口座開設や携帯電話契約など、対面での本人確認が必要なシーンでの利便性が向上します 。リリース以降も、マイナ保険証としての利用など、順次利用シーンの拡大が図られる見込みです 。
Androidユーザーの方へ
Androidスマートフォンでは、「Androidスマホ用電子証明書搭載サービス」が2023年5月11日から既に提供を開始しています 。このサービスは、最新のマイナポータルアプリとお手元のマイナンバーカードを使って、端末への電子証明書の搭載を可能にします 。
対応機種は、セキュリティを担保するためにセキュアエレメント(GP-SEチップ)を搭載しているAndroid端末に限られますが、現在200以上の機種に対応しており、最近のAndroidスマートフォンであればほとんどが対応しているとされています 。Androidで利用可能な機能は主に「電子証明書機能」であり、マイナポータルへのログインやコンビニでの証明書取得などが可能です 。券面情報送信機能(属性証明機能)については、iPhoneに先行して搭載されるものの、Androidでも早期実現に向けて検討が進められています 。Android端末でも、今後マイナ保険証としての利用など、機能拡張が予定されています 。
表2:iPhoneとAndroidの機能対応状況と開始時期比較表
機能名 | Android | iPhone | 備考 |
電子証明書機能 | 2023年5月11日より提供中 | 2025年6月24日開始予定 | マイナポータルログイン、コンビニ交付等に利用。機能的には同等 。 |
券面情報送信機能(属性証明機能) | 開始時期未定(今後対応予定) | 2025年7月開始予定 | 氏名、住所、生年月日等の券面情報を送信し本人確認を行う機能。iPhone先行搭載 。 |
マイナ保険証対応 | 2025年7月試行、9月本格運用予定 | 2025年7月試行、9月本格運用予定 | 医療機関での保険証利用。両OSで対応予定 。 |
マイナ免許証対応 | 早期実現に向け検討中 | 早期実現に向け検討中 | 運転免許証との一体化。両OSで検討中 。 |
マイナンバーカード機能をスマホに搭載する方法:ステップバイステップガイド
マイナンバーカード機能をスマートフォンに搭載する手続きは、オンラインで簡単に行うことができます。この手順を理解することは、実際にサービスを利用開始するための重要なステップです。物理的なマイナンバーカードと最新のマイナポータルアプリがあれば、自治体窓口に赴くことなく、いつでもどこでも申請が可能です 。
事前準備
- 物理的なマイナンバーカード: スマートフォンに電子証明書を搭載するには、まずお手元に物理的なマイナンバーカードが必要です。これは、カードに格納されている署名用電子証明書を利用して、スマートフォンへの搭載申請を行うためです 。
- 最新のマイナポータルアプリ: スマートフォンにマイナポータルアプリをダウンロードし、最新の状態に更新しておく必要があります 。
搭載手順(Androidを例に、iPhoneも同様のプロセスが想定されます)
- マイナポータルアプリを開く: スマートフォンでマイナポータルアプリを起動し、「スマホ用電子証明書を申請する」のリンクを選択します 。
- 物理マイナンバーカードのパスワード入力: 最初に、お手元のマイナンバーカード発行時に設定した「署名用電子証明書」のパスワード(6~16桁の英数字)を入力します。これは、普段利用する4桁のパスワードとは異なるため注意が必要です 。
- マイナンバーカードの読み取り: 申請準備が完了したら、スマートフォンのカード読み取り部(NFCリーダー)に物理的なマイナンバーカードをかざして読み取ります 。
- スマートフォン用パスワードの設定: 読み取りが完了すると、スマートフォン用の新しいパスワードを設定する画面が表示されます。ここでは、「スマホ用署名用電子証明書」と「スマホ用利用者証明用電子証明書」それぞれのパスワードを設定します。物理カードのパスワードと同じにすることも可能ですが、忘れないように管理することが重要です 。
- 申請完了と登録: これらの設定を終えると「利用申請中」となり、通常は即時~数分程度でマイナポータルアプリに通知が届きます(19時30分以降の申請は翌朝処理されます) 。通知が届いたら、「スマホ用電子証明書の登録」から「登録する」をタップして登録を完了させます 。
- 生体認証の利用登録: 最後に、「生体認証などを利用登録する」を選択し、スマートフォンの生体認証(顔認証や指紋認証)で認証を行うことで、利用者証明用電子証明書のパスワード入力の手間を省くことができます 。
この手順は、一見複雑に見えるかもしれませんが、マイナポータルアプリのUIは分かりやすく設計されており、指示に従って進めればスムーズに設定が可能です 。パスワードの種類を混同しないよう注意しながら進めることが、円滑な搭載の鍵となります。
気になる安全性は?スマホ搭載のセキュリティ対策
マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載において、ユーザーが最も懸念する点の一つが「安全性」です。個人情報という極めてプライバシー性の高い情報を扱うため、そのセキュリティ対策は非常に重要です。政府は、物理的なマイナンバーカードと同等の高いセキュリティを確保できる仕組みでスマートフォン搭載を実現しており、安心して利用できる環境を構築しています 。
GP-SEとは?安全な情報格納の仕組み
マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載におけるセキュリティの根幹をなすのが「GP-SE(GlobalPlatform Secure Element)」です。これは、スマートフォンのメインボードに組み込まれた、非常に安全性の高いICチップを指します 。
電子証明書や秘密鍵といった機密性の高い情報は、このGP-SEという隔離された高セキュリティな領域に格納されます 。GP-SEは、国際標準であるGlobalPlatform仕様に準拠しており、厳格なセキュリティ基準を満たしています。これにより、外部からの不正なアクセスや情報盗取を極めて困難にし、格納された情報の独立性と耐タンパ性を確保しています 。この技術的な裏付けが、スマートフォン搭載されたマイナンバーカード機能の信頼性を支えています。
4つの安心ポイント!
GP-SEの活用に加え、多層的なセキュリティ対策が講じられており、利用者が安心してサービスを利用できるよう設計されています。主な安心ポイントは以下の4点です 。
- プライバシー性の高い情報は記録されない: スマートフォンに搭載されるのは電子証明書機能であり、税関係情報や年金関係情報など、個人のプライバシー性の高い詳細な情報はスマートフォン内に記録されません 。これにより、万が一スマートフォンが不正にアクセスされたとしても、機密性の高い個人情報が漏洩するリスクは最小限に抑えられます。
- 記録情報の盗取は困難: スマートフォンに格納された電子証明書は、マイナポータルアプリからしかアクセスできないように厳しく制限されています。さらに、不正に情報を盗取しようとする様々な手法に対し、自動的に記録情報を消去する機能など、強力な対抗措置が施されています 。これにより、第三者による情報盗取は極めて困難です。
- 暗証番号による保護とロック機能: 各電子証明書には、利用時に暗証番号の設定が必須です。たとえスマートフォンが紛失したり盗難に遭ったりしても、暗証番号を知らない第三者が本人になりすまして利用することはできません 。また、暗証番号を一定回数誤って入力するとロックがかかる仕組みになっており、総当たり攻撃による不正利用も防止されます。これは、銀行のATMでキャッシュカードを利用するのと同等の安全性です 。
- 紛失・盗難時のリモート削除機能: 万が一スマートフォンを紛失したり盗難に遭ったりした場合でも、遠隔操作でスマートフォン内の電子証明書を失効・削除できる機能が実装されています 。これにより、物理的なカードを紛失した場合と同様に、速やかに不正利用のリスクを排除することが可能です。
これらの重層的なセキュリティ対策により、マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載は、高い安全性を確保しながら運用されています。
スマホでマイナンバーカード!メリット・デメリットをチェック
マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、多くのメリットをもたらす一方で、利用者が認識しておくべきデメリットや注意点も存在します。サービスの全体像を理解し、適切に利用するためには、両面を把握することが重要です。
メリット:スマホ一つで身軽に!
マイナンバーカード機能をスマートフォンに搭載することの最大のメリットは、その利便性と携帯性の向上にあります。
- 物理的な本人確認書類の不要化: 物理的なマイナンバーカードや運転免許証といった本人確認書類を持ち歩く必要がなくなります。スマートフォン一つで本人確認やサービス申し込みが完結するため、身軽に行動できるようになります 。
- 行政手続きのオンライン完結: 引越しなどの公的な手続きのためにわざわざ市役所などに出向く必要がなくなり、スマートフォンだけで手続きを完了できるようになります。これにより、時間や場所の制約が大幅に軽減されます 。
- 生体認証の活用: 顔認証や指紋認証といったスマートフォンの生体認証機能を利用できるため、パスワード入力の手間が省け、パスワード忘れの心配も軽減されます。これにより、サービスの利用がよりスムーズになります 。
- 身分証明の一元化: 将来的にはマイナ保険証やマイナ免許証との一体化が進められており、最終的にはマイナンバーカード、健康保険証、運転免許証といった主要な身分証明がスマートフォン一つに集約される見込みです 。
デメリット:スマホの扱いは慎重に!
利便性が高まる一方で、スマートフォンに重要な個人情報が搭載されることによる注意点も存在します。利用者はこれらのデメリットを理解し、適切な管理を行う必要があります。
- 紛失・修理・売却時の失効手続き義務: スマートフォンを機種変更する際、下取りに出す、売却する、廃棄する、または故障した場合など、マイナンバーカード機能を搭載したスマートフォンの利用を停止する際には、利用者自身で電子証明書を失効させる義務があります 。これは、電子証明書が第三者に悪用されるリスクを防ぐために極めて重要な手続きです。
- 工場出荷時設定へのリセットでは消去されない: スマートフォンを工場出荷時設定にリセットしても、GP-SE(Secure Element)に格納された電子証明書は自動的に消去されません 。このため、単に初期化するだけでは電子証明書が端末に残存する可能性があり、適切な失効手続きが不可欠となります。
- 適切な手続きを怠った場合のリスク: 失効手続きを怠った場合、万が一スマートフォンが第三者の手に渡り、暗証番号が突破されるなどの事態が発生すると、電子証明書が悪用される潜在的なリスクが残ります。このため、機種変更や廃棄の際には、必ずリモート削除機能の活用や、マイナポータルアプリからの電子証明書の失効手続きを確実に行うことが求められます 。
(参考:デジタル庁「スマホ用電子証明書を登録しているスマートフォンの利用をやめるときの手続」)
表3:マイナンバーカードスマホ搭載のメリット・デメリット一覧
項目 | メリット | デメリット |
携帯性 | 物理的なマイナンバーカードや運転免許証を持ち歩く必要がなくなる | – |
利便性 | 公的な手続き(引越し等)が市役所に行かずスマホで完結 | – |
生体認証(顔認証・指紋認証)が利用でき、パスワード入力の手間が軽減 | – | |
機能拡張 | 将来的にマイナ保険証やマイナ免許証との一体化で身分証明が一元化 | – |
管理責任 | – | 機種変更、修理、売却、廃棄時に電子証明書の失効手続きが義務付けられている |
データ残存 | – | 工場出荷時設定へのリセットだけでは電子証明書が消去されない |
リスク | – | 失効手続きを怠ると、電子証明書が端末に残存し潜在的な悪用リスクがある |
まとめ:デジタル社会におけるスマホ搭載の役割と展望
マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、国民の利便性を飛躍的に向上させ、行政手続きのデジタル化を加速させる上で極めて重要な一歩です。物理的なカードの携帯が不要になるだけでなく、マイナポータルでの自己情報確認、コンビニでの証明書取得、さらには将来的なマイナ保険証やマイナ免許証との連携、幅広い民間サービスでの本人確認など、その活用範囲は多岐にわたります 。
この機能は、日本が目指すデジタル社会の実現に向けた「デジタル社会のパスポート」としての役割を今後さらに拡大していくでしょう 。政府は、スマートフォンひとつで、いつでもどこでもオンライン行政手続等を行うことができる環境の構築を目指しており 、これは国民一人ひとりの生活をより豊かで効率的なものに変える可能性を秘めています。
安全性についても、GP-SEの活用や多層的なセキュリティ対策により、物理カードと同等の高いレベルが確保されています 。プライバシー性の高い情報が記録されないこと、不正な情報盗取が困難であること、暗証番号による保護とロック機能、そして紛失・盗難時のリモート削除機能など、利用者が安心してサービスを利用できる環境が整備されています。
今後、iPhoneでの本格運用開始、マイナ保険証やマイナ免許証の本格的な展開、そして民間サービスとの連携深化が進むにつれて、マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、私たちの日常生活に不可欠なインフラとなることが期待されます。この変革を理解し、適切に活用することで、私たちはより便利で安全なデジタル社会の恩恵を享受できるでしょう。