インターネット広告の分野には、多くの専門用語が存在し、理解しづらい時もあります。
特にパブリッシャーの間では同じ意味合いで使われるeCPMとCPMですがこれらには大きな
違いが存在します。
この記事では、eCPMとCPMの違いについて詳しく解説します。
eCPMとCPM
eCPMとCPMは、パブリッシャーと広告主がそれぞれ収益性や広告キャンペーンの掲載費用を評価するために使用する指標です。
- eCPM(Effective Cost Per Mille) – パブリッシャーが広告枠から得られる収益を測定する指標
- ネットワークeCPM -接続先配信事業者から得られる収益を測定する指標
- CPM(Cost Per Mille) – 広告主が1,000インプレッションあたりに支払うコストを示す指標
- 仮想CPM – アドマネージャーなどにeCPMを伝えるための指標
eCPMとは?
eCPM(Effective Cost Per Mille)は、1,000インプレッションあたりの事実上の収益を示す指標です。
「Effective(実効的な)」という言葉がポイントです。これは、広告がクリックされたかどうかに関わらず、パブリッシャーが1,000インプレッションあたりで得る実際の収益を意味します。
eCPMは、(総収益÷総インプレッション)× 1,000で計算します。
ネットワークeCPM
ネットワークeCPMは、掲載する広告枠に接続されたアドソース(接続先配信事業者)の
レポート上で確認ができる広告配信事業者別の収益単価です。
アドマネージャーをなどの媒体向け広告サーバーで収益性に基づいた広告事業者の収益性を比較/検証する際に使用します。
CPMと仮想CPM
CPMとは
CPM(Cost Per Mille)は、広告主がパブリッシャーから購入した1,000インプレッションあたりのコストを示します。
CPMは、(配信広告予算÷配信インプレッション)× 1,000で計算します。
仮想CPMとは
仮想CPM(Value Cost PerMile)は、パブリッシャー向けアドサーバであるGoogle
アドマネージャーに入稿されたネットワーク広告などの空き枠広告のeCPMを知らせるために使う指標です。
Google Ad Excahange(OpenBidding)における空き枠広告同士の競合にはこの値もしくはレートとして設定されたCPMが使用されます。
算出は、第三者広告タグの収益/広告申込情報へのインプレション回数*1000
または、ネットワークeCPM*配信比率
例:20円*0.75(75%)=15円
つまり統一価格オークション上では15円として他の空き枠申込情報と競合されます。
CPC「クリック単価にも換算できる」
クリックをベースに掲載費を支払うCPC単価入札におけるCPCは以下の総合関係が成り立つ
①CPM = CPC * CTR * 1000
②CPC = CPM / CTR / 1000
③CTR = CPM / CPC / 1000
CPCをクリック率から算出する
CPM30円で入札された広告が1000回表示され10%の割合に相当する100回クリックが
ありました。この時のクリック単価を求めよ
30円/0.10/1000=0.3円と求まりました。
つまり1クリック0.3円となります。
CTRを算出する
CPM30円/CPC0.3円の広告が入札されたときのCTRを求めよ
この場合、CPM30円/CPC0.3/1000=0.1
つまり10%になります。
クリック単価をCPMに換算する
クリック単価を0.3円の広告が10%の割合でクリックされたときのインプレション単価を求めよ。
この場合は、0.3円*0.1*1000=30円
つまり30円に戻りました。
クリック単価型ネットワークを比較してみよう
先の公式を覚えるとクリック単価広告をインプレション単価と言う共通の指標に置き換えて
公平に比較することができます。
問えば以下のようなレポートを持っていたとします。
クリック率 | CPC | CPM | |
---|---|---|---|
アドネットワークA | 40% | 1.5円 | ? |
アドネットワークB | 20% | 0.5円 | ? |
アドネットワークC | 10% | 1.3円 | ? |
アドネットワークD | 8% | 30円 | 240円 |
このようにアドネットワーク「A,B,CはCPMがレポート上に表示されていませんでした。」
このまま各広告ネットワークの収益性を比較すると
Dの35円しか候補にあげれません。
クリック率 | CPC | CPM | |
---|---|---|---|
アドネットワークA | 40% | 1.5円 | 600円 |
アドネットワークB | 20% | 0.5円 | 100円 |
アドネットワークC | 10% | 1.3円 | 130円 |
アドネットワークD | 8% | 30円 | 240円 |
先の公式を使ってCPMを算出してみましょう。
- アドネットワークA: 1.5円×0.40×100=600円
- アドネットワークB: 0.5円×0.20×100=100円
- アドネットワークC: 1.3円×0.10×100=130円
以上の様になりました。
これらから比較するとアドネットワークAが一番収益性が高いということだと判断
できます。
なおこの結果は、オークション方式によって異なります。
パブリッシャーにとってのeCPMの重要性
eCPMは以下の目的で活用できます。
- 複数のプラットフォーム間での広告枠のパフォーマンス比較
- 単一ウェブサイト内の広告枠パフォーマンスの比較
- 広告パートナー間のパフォーマンス比較
- 市場需要に応じたフロア価格(最低入札価格)の調整
- クリック課金やコンバージョン課金など、様々な課金モデルでの収益評価
GoogleではAdSenseやAd Exchangeの収益性を高め、維持するために最低でも1ヶ月
ペースでの仮想CPMの更新を推奨しています。
プログラマティック取引の分野においてはネットワークeCPMとアドマネージャーに送信される仮想CPMのずれを修正しOpenBiddingやAdExcahngeと適切に競合させるために、
ヘッダービッディング(PrebidやTAM)を用いることが多いです。
まとめ
- eCPMとCPMはパブリッシャーと広告主がそれぞれ使用する重要なパフォーマンス指標
- eCPMはパブリッシャーの1000インプレッションあたりの収益を示す
- アドマネージャーでは仮想CPMもしくはレートを使用する
- CPMは広告主の1000インプレッションあたりのコストを示す
- 2つの広告ユニットのCPMは同じでもターゲティングレベルやCTRの違いによってeCPMが異なる場合がある
- クリック単価とインプレション単価は相関関係にある