皆さん、こんにちは!兵庫県でギター女子をやっている、さくらです!
昨年の兵庫県知事選挙で、善戦空しく敗れた前尼崎市長の稲村和美さん。彼女の尼崎市長時代の取組は素晴らしいものがあったのですが、それらをかき消すデマや誹謗中傷により、それらがまともに理解されなかったことは大変残念なことでありました。
特に稲村和美さんを襲ったデマの中で多かったのが、
稲村和美は左翼だ!
とか、
稲村和美は既得権益側の人間だ!
というもの。
しかし、それらはよくよく調べると、ほとんどが断片的な情報に基づく誤解であったりすることがほとんどだったのです。
本日は、兵庫県在住のギター女子・さくらが、選挙が終わった今だからこそ、改めて、稲村和美氏が左翼であったり、既得権益側の人間だったのかについて、検証しようと思います。
なぜ稲村和美が「左翼」に間違われるのか
稲村和美さんを襲ったデマの中で、特に多かったのが、
稲村和美は左翼だ!
というもの。この論拠として使われるのが、稲村和美氏が政治家となった初期の頃において、リベラル系の政党である「緑の党」にかかわりがあった、というもの。
しかし、稲村氏は、実際のところ、政治家となってからの活動は、緑の党に沿った取組を行うことはほとんどありませんでした。
あとで詳しく語りますが、政治家としての稲村氏は、財政問題や行革問題が得意フィールドだったんです。
こういった流れもあって、緑の党自身も、公式に稲村氏との現在の関係を否定しています。
2024年11月7日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会10月31日告示の兵庫県知事選候補の稲村和美さんと緑の党との関係について、ネット上で事実でないコメントが多数見られること、また問い合わせもあることから、説明させていただきます。
〇稲村さんは緑の党の前身団体には関与していましたが、緑の党グリーンズジャパンについては結党当初から会員となっていません。稲村さんが緑の党を立ち上げたとか、共同代表をしていたなどの事実はありません。
〇緑の党は、今回の兵庫県知事選には推薦・支持などは出していません。
〇過去の尼崎市長選挙で支持などをした際に、政策協定などを結んだことはありません。よって稲村さんの政策と緑の党の政策には関連がなく、憶測に基づく批判には根拠がありません。
上記は、下の「緑の党」公式サイトからの引用です。
稲村氏の政治家となってからの政治スタンスは、およそリベラルとはほど遠く、緑の党やそこに属する政治家たちとは明らかに一線を画すものであり、彼女が「緑の党の一員」と誤解されるのは、緑の党にとっても、ある意味において迷惑な話だったのではないか…とさえ思えるほどです。
おそらく、政治家になって、当事者目線で県政・市政のことを考えたとき、緑の党のような考え方では現実的な行政運営ができない、と考えたんでしょうね。
なぜ稲村和美が「既得権益側」と間違われたのか
続いて、もう一つのデマ、「既得権益」問題について、改めて稲村氏がなぜ「既得権益側」と誤解されたのかを冷静に考えてみるのですが…
冷静に考えて、稲村和美氏に「既得権益側」と言われるような要素は、何一つない
のです。
この点、「一時緑の党の前身団体にかかわっていた」というような「左翼」と誤解されるようなエピソードがあった話とは違うところです。
ただ、おそらく斎藤氏サイドの側からすると、
斎藤氏は改革の旗手だ!
みたいなイメージで選挙戦を戦いたかったでしょうから、その相手となる稲村氏については、特段の根拠がなくとも「既得権益サイドだ」というレッテルを貼り、対立構造を作り出す必要があったのかな…と推測しているところです。
「県庁の大規模建て替えに賛成だ」とか「井戸元知事と仲良しだ」など、これまたデタラメな噂とともに既得権益側にされてしまっていましたよね…。
稲村和美の「左翼」「既得権益」とはほど遠い取組の数々
さて、稲村和美氏は、兵庫県議、尼崎市長として活動をしてきたわけですが、そこでの具体的な取組を見ていくと、
稲村和美氏の取組は、およそ左翼や既得権益とはほど遠い
ということは明らかです。以下、それらを見ていきましょう。
【取組①】財政改革・行政改革を徹底的に主張
稲村和美氏は、兵庫県議会議員の頃、財政改革・行政改革を徹底的に主張したことで知られており、「財政の稲村」との異名を取っていました。
兵庫県の財政状況は、阪神・淡路大震災の復旧・復興にかかる借金で非常に厳しい状況になっており、かなり踏み込んだ改革をしないと予算編成ができない…というところまで追い込まれていましたが、そこで「踏み込んだ改革をすべきだ」と主張していたのが、稲村和美氏でした。
このあたりの彼女のスタンスは、兵庫県議時代の議事録に、客観的な証拠として残されています。
平成19年 2月第290回定例会(第8日 3月15日)
No.17 いなむら和美議員第1号議案、平成19年度一般会計予算案に反対の立場から討論を行います。
平成19年度当初予算の編成においても、昨年度以上、そして当初見込み以上の収支不足が発生しており、大変厳しい状況だということは、この場におられる皆様もご承知のとおりです。確かに阪神・淡路大震災はだれに責任があるわけでもない自然災害でした。国の地方交付税の削減も極めて一方的だと思います。しかし、たとえそうであっても、私たちは、真に必要な住民サービスを確保し、県民の生活を守るための責任ある行財政運営に取り組まなければなりません。震災や交付税の削減が県の財政に大きく影を落としていることは間違いないとしても、それはそれとして、今、私たちにこの困難をみずから打開していく努力が求められているのも事実だと思います。そして、そういった取り組みや努力が、国に対して制度の是正などを迫っていくときの説得力にもつながると思います。兵庫県の行財政改革は、もはや待ったなしだというのが現実ではないでしょうか。
しかし、平成19年度当初予算では、せっかく18年度補正の緊急対策で残高を回復させた県債管理基金を、またもや多額に一時借用せざるを得なくなっています。また、昨年の予算に対する討論でも述べました県債の発行も、十分には抑制されていません。発行額は前年度に比べて減っていますが、退職手当債や資金手当債等の活用により、発行残高を減らすには至っていません。平成19年度予算は、本格的な歳出の削減や抜本的な収支不足の解消に踏み込んだ予算にはなっていないと言わざるを得ないと思います。
知事ご自身も、予算委員会の答弁の中で、ポスト行財政構造改革に向けての検討をまさに19年度から始めようとしており、当初予算では改革のスタートはまだ十分には切れていない、ただし、これから抜本的な見直し作業を本格化させていくための準備は進めてきたと述べられたとおり、本格的な改革は今後に控えているポスト行財政構造改革にゆだねられました。
私も、人件費や事業の見直しを抜本的に進めるためには、つけ焼き刃ではなく、きちんと時間をとって議論をし、合意形成をしていくことが必要だと思っています。それでも、今回、私があえて予算に反対としたのは、今後の行財政改革に残した宿題の重みを、私自身も含めて、改めて確認しておく必要があると考えたからです。
支える側の現役世代が減少し、支えを必要とする人がふえる少子・高齢社会を迎える今、財政改革を先送りすればするほど問題は大きくなり、そのツケは先送りした以上の重みとなって市民・県民に回ってきます。これから取り組むべきポスト行財政構造改革の厳しさを考えれば、苦しいながらも、もう一歩踏み込んだ19年度予算であってもよかったのではないかと思うところです。私たちは、改めてポスト行財政構造改革に積み残された課題をしっかりと整理し、その大きさを受けとめておかなければならないと思います。
県議会においても、財政の健全性に対するチェック機能はもちろん、未来への責任を果たす持続可能な予算への転換に向けて、活発な議論と県民への説明責任、そして、これまで以上の知恵と工夫が求められるということを私自身も肝に銘じ、平成19年度一般会計予算に対する反対討論とさせていただきます。(拍手)
※兵庫県議会ウェブサイト「議事録検索」より作成
このように、稲村和美氏は、行政改革を通じて、人件費や事業費を圧縮して収支均衡に導こうとする、いわゆる「小さな政府」路線を目指そうとしていました。
これは、ご本人がどう思われるかどうかは分かりませんが、平成10年代後半くらいに、自民党政権が進めた構造改革路線に通じるものがある考え方であり、
少なくとも「左翼」とは全く逆の考え方
であったと評価することが出来るでしょう。
一方で、稲村氏を「左翼」とのレッテルを貼ってののしっていた人たちは、こういった稲村氏の根幹の考え方を、1次ソースから触れるようなことは一切行っていません。
そのため、戦略的に流されたデマに、まんまとだまされてしまったのです。
【取組②】維新より先に実現させた「市バス民営化」
尼崎市長になってからの稲村和美氏は、上記のような考え方を、「評論家」にすぎない議員の立場ではなく、実際に行政の責任者である市長の立場として、次々と実践に移していきます。
その最たるものが、長きにわたって尼崎市で親しまれていた、尼崎市バス(尼崎市交通局)の民営化です。
どうしても公務員の立場でバス運転手をしてもらうと人件費が高くなってしまい、そのことが市バス事業を慢性的な赤字体質にしてしまうのですが、そこで稲村氏は市バス事業を民間バス事業者に譲渡するという、「市バス民営化」の取組を推進しました。
当然、公務員の立場でバスの運転が出来ていた運転手たちは強烈に抵抗することが目に見えていますし、
市バスが民間事業者になったら赤字路線は撤退されて私たちが不便になる!
と、市民の「足」がなくなることを懸念する尼崎市民からの不満の声もたくさんあったことでしょう。
しかし、稲村氏は、そういった不満・不安の声に向き合いつつも、一定の解決策を示した中で、最終的に市バスの民営化を実現させたのです。
この尼崎市バス民営化が実現したのが、2016年3月。なお、大阪市において大阪市交通局の民営化が達成されたのは、その翌年、2017年4月。
なので、
という、巷で語られる「既得権益」とは真逆のことをやってのけた人になるのです。
この事実を知っているからこそ、稲村さんのどこが左翼で、どこが既得権益なのか…私には、全然分からないわけですよ。
【取組③】尼崎城、青少年施設、生涯学習プラザ…あらゆる施設を指定管理者に
稲村和美氏は、尼崎市長時代、さまざまな施設に指定管理者制度を導入し、
公務員ではない、民間事業者による公共施設の管理
を推進していました。
たとえば、阪神尼崎駅南に見える、尼崎城は、篤志家からの寄付によってできたお城ですが、ここにも開城直後から指定管理者制度を導入。
また、「ユース交流センター」と呼ばれる青少年施設も、指定管理者制度が導入されています。
加えて、稲村和美氏が「自治の拠点」とこだわった尼崎市の生涯学習プラザという公民館的な施設も、指定管理者制度が導入されています。
このように、稲村氏は、公務員による施設の管理を極力行わず、民間事業者の活力や知恵を活かした施設運営を、さまざまな分野において実践しており、その数は実に40施設を超えます。
どれだけの施設に指定管理者制度が導入されているかは、尼崎市の公式ホームページで確認できます!
これもまた、公務員が中心となった大きな政府を施行する「左翼」であってはできない発想ですし、また既得権益に守られていてはできない取組であったりします。
ちなみに、兵庫県では、兵庫県立美術館が未だに公務員による直営で運営されており、その権限を使って斎藤知事が「Perfumeに会わせろ」とゴネたわけですよね…。
まとめ
以上、本日は、前回の兵庫県知事選挙における稲村和美氏を襲った「左翼」「既得権益」デマについて、
- 実際は稲村和美氏が左翼でもなければ、既得権益側の人間でもないこと
- むしろ稲村和美氏は、財政改革や、公の民営化など、維新的な改革に取り組んだ人であったこと
について、1次ソースに基づくエビデンスとともにご紹介させていただきました。
おそらく、稲村氏は、県議時代・市長時代ともに、「右か左か」とか「維新的かそうでないか」とかいったような「政治的立ち位置」にはあまり関心がなく、自治体の置かれた状況を冷静に分析しながら、「何がこの自治体にとって最善か」ということだけにこだわって活動した、真に住民本位な考え方であったのだろうと思います。
そうした中で、結果的に行われた稲村和美氏の兵庫県議時代・尼崎市長時代の取組は、むしろ維新的であったがゆえに、維新側が支援していた斎藤知事にとっては非常に具合が悪いものでした。
だからこそ、こういった
稲村和美氏の維新的な功績を、デマや誹謗中傷で上書きして、一般の人には見えないようにしてしまっていた
というような事態に陥っていたのではないか…と考えています。
選挙期間中は、異様な熱気の中で、こういった事実に基づく議論が出来ない状況にありました。
でも、今は違います。改めて、1次ソースを調べ、考え、デマがデマであったことを確認するプロセスは、ある程度熱気が落ち着いた今だからこそ、改めて取り組むべきでは…そんなことを思った次第です。