情報社会の現代において作業効率を向上させるために欠かせない無線LAN機器ですが、
無線LAN機器をインターネットに接続させるために必要なものとして無線LANルーター
と呼ばれる設備が存在します。
ですが、無線LANルーターは環境に合わせたものを選ばなければ、快適な通信ができません。通信規格や回線速度など、様々なことを考慮する必要があります。
今回は、そんな無線LANルーターの選び方について解説します。無線LANルーターについて理解できれば、快適なネットワーク環境の構築ができるでしょう。
〈この記事を読んでわかる内容〉
- 無線LANルーターの基本知識
- 無線LANルーターの選び方
- 無線LANルーターにあると便利な機能
- 無線LANルーターを買い換えるタイミング
- 悩んでしまった場合はHGW(ホームゲートウェイ)一択
無線LANルーター選びで困っている方は、必見です。
無線LANルーターとは自宅やオフィスで気軽にWi-Fiが接続できる通信設備
無線LANルーターとは、自宅やオフィスのwi-fiデバイス気軽に接続できる通信設備です。
以下のような特徴があります。
- ケーブル不要で複数の機器に同時接続できる
- 端末の小型化が実現できる
- 無線LANルーターの利便性が高い
ケーブル不要で複数の機器に同時接続できる
無線LANルーターの最大の利点は、ケーブルが不要なことです。ケーブルを用いずにスマートフォンやPCなどの複数の無線LANアクセスデバイスを同時にインターネット接続することができます。
例えば、リビングでテレビを見ながら、キッチンでレシピを検索し、子供が自室でオンラインゲームをするといった使い方が可能です。
場所を選ばず、家中どこでもインターネットを楽しめるのが、無線LANルーターの大きな特徴といえるでしょう。
無線LANがもたらす小型化のメリット
スマートフォンやタブレット、携帯型ゲーム機など、物理インターフェースの追加が困難なデバイスにとって、無線LANはまさに救世主です。
有線接続を必要としないため、LANポートといった物理的な接続端子をなくすことができ、これがデバイスの薄型化や軽量化に直結します。
さらに、これらの携帯型デバイスは、屋内外を問わず利用されることが多いため、ケーブルの煩わしさから解放される無線接続は、ユーザーエクスペリエンスを格段に向上させます。
会議室でのプレゼンテーションから、リビングでの動画視聴、移動中の情報収集まで、場所を選ばずにネットワークに接続できる利便性は、現代のライフスタイルに深く根ざしています。
無線LAN技術の進化は、より高速で安定した通信を可能にし、私たちのデジタルライフをより豊かでシームレスなものへと変え続けています。
無線LANルーターの利便性が高い
無線LANルーターは、細かな設定が不要な場合が多く、非常に手軽に導入できるのが大きな特徴です。これは、無線通信機器をインターネットに接続するために用意された、ルーターと無線アクセスポイントの機能を1つにまとめた通信設備だからです。
多くの無線LANルーターは、電源を入れればすぐにWi-Fiネットワークを確立し、スマートフォンやPCなどのデバイスから簡単に接続できるよう設計されています。
複雑なネットワーク設定や専門知識がなくても、箱から出してすぐにインターネットを利用開始できる手軽さは、特に一般家庭での普及を後押ししています。
また、WPS(Wi-Fi Protected Setup)などの機能を使えば、ボタン一つでデバイスとの接続設定が完了するなど、さらに利便性が高まっています。これにより、誰でも簡単にセキュアな無線ネットワークを構築し、快適なインターネット環境を享受できます。
無線LANルーターを選ぶ前に知っておきたい基礎知識
無線LANを選ぶ前に、まずは以下の基礎的な知識を知っておきましょう。
- 電波の種類・通信規格
- 伝送速度と最大通信速度の違いと数値
- 周波数帯による違い
電波の種類・通信規格
世界における電気通信機器にはその仕様に一定のルールが定められておりこれをIEEE(アイトリプルイー)と言う団体がとりまとめています。
無線LANを選ぶ前に、電波の種類と通信規格を理解しておきましょう。無線LANには、2.4GHzと5GHz/6Ghzという3種類の周波数帯があり、5/6GHzは速度が速く、2.4GHzは遠くまで届きやすいといった特徴があります。
Wi-Fiの種類(通信規格の違い)によって、周波数帯や最大通信速度などの仕様が異なるため、環境に合ったものを選ぶ必要があります。
通信規格 | 新名称 | 周波数帯 | 最大通信速度 |
---|---|---|---|
IEEE 802.11b | – | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE 802.11a | – | 5GHz | 54Mbps |
IEEE 802.11g | – | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE 802.11n | Wi-Fi 4 | 2.4GHz, 5GHz | 600Mbps |
IEEE 802.11ac | Wi-Fi 5 | 5GHz | 6.9Gbps |
IEEE 802.11ax | Wi-Fi 6 | 2.4GHz, 5GHz | 9.6Gbps |
IEEE 802.11ax | Wi-Fi 6E | 2.4GHz, 5GHz、6GHz | 9.6Gbps |
IEEE 802.11be | Wi-Fi 7 | 2.4GHz, 5GHz、6GHz | 46 Gbps |
また、我が国(日本)においては電波法とに基づき6Ghz帯以上の周波数の発信する通信設備を設置・使用することは禁止されており加えて日本において技適(技術適合)認証を受けていない設備を使用すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金刑が科されます。
通信規格は、新しくなるほど高速通信が可能です。最新のWi-Fi 6は、従来のWi-Fi 5に比べて最大通信速度が向上しています。通信速度は通信を快適に行えるかどうかに直結するので、重要視した方が良いでしょう。
注意したいのが、「IEEE802.11」の後についているアルファベットです。これは電波の種類を指し、対応している規格を選ぶ必要があります。AM専用ラジオでFMを聞けないのと同じように、使っている機器が対応しているかどうかもチェックしておきたいポイントです。
伝送速度と最大通信速度の違いと数値
無線LANルーター選びで最も欠かせないのが通信速度と言われがちですが、最大通信速度は目安に過ぎず同条件で1時間通信したときの技術規格上の平均が最大通信速度と呼ばれる指標です。※Wi-FiアライアンスやIEEEが定める数値
一方で伝送速度(スループット)は、無線LANルーターを開発・販売するメーカーが検証した結果で設計上出せる1秒当たりの最大の通信速度を指します。
この数値が大きければ大きいほど多くのデータを高速でやりとりできます。
動画視聴やオンラインゲーム(アップデート)も快適にできるでしょう。
注意したいのが、表示されているのは理論上の最高速度という点です。
実際の環境では、様々な要因で通信速度は理論上の最高速度よりも遅くなります。
ただし、基本的には最大通信速度の数値が大きいものを選んでおけば、実際の通信速度はより快適になる可能性が高まります。迷った場合はスループット(伝送速度)を見ましょう。
Wi-Fi周波数帯の選び方
Wi-Fiの速度と届きやすさは、使う周波数帯で大きく変わります。
最適なWi-Fi環境を作るには、それぞれの特性を理解し、環境に合った選び方をしましょう。
- 2.4GHz帯: 障害物に強く電波が届きやすいですが、家電との電波干渉が多く、速度は控えめです。
- 5GHz帯: 干渉が少なく高速通信が可能ですが、障害物に弱いです。場合によっては通信が一時的に途切れるDFS機能が働くことがあります。
- 6GHz帯: 干渉がほとんどなく非常に高速ですが、障害物に最も弱く、電波の到達距離は短めです。
電波は発信源から遠ざかるほど弱まる距離減衰という現象があり、周波数が高いほどその影響を受けやすくなります。
これらの特性と、ご自身の環境(壁の材質、部屋の配置、使うデバイス、必要な速度など)を考慮して、最適な周波数帯を選び、アクセスポイントを配置しましょう。
法人向けと家庭用Wi-Fiルーターの違い:オフィスに最適な選択を
Wi-Fiルーターを選ぶ際、家庭用で十分かと考えるかもしれませんが、ビジネス利用ではその違いを認識しておくことが重要です。
主な違い
- ルーター機能とアクセスポイント機能: 家庭用は一体型が主流ですが、法人向けは機能が独立しており、柔軟なネットワーク構築が可能です。
- 接続可能デバイス数: 家庭用が数台なのに対し、法人向けは100台以上の同時接続に対応し、オフィスでの多数のデバイス利用に耐えられます。
- 複数ネットワーク構築: 家庭では不要ですが、法人では従業員用と来客用など、複数のネットワークを分けて運用することが多いため、機能分離が有利になります。
オフィスに最適なWi-Fi環境を構築するには、これらの違いを理解し、ビジネスの規模やニーズに合った製品を選ぶことが重要です。
一般的な無線LANの基本的な構成

一般的に、家庭の無線LAN環境構成は以下の3つで成り立っています。
- インターネット回線また名をWANと言う
(ひかりやブロードバンド)「ONU」など - スイッチングハブ
- 無線LANルーター/ルーター又は無線LANアクセスポイント
無線LAN環境の構築に必要なもの:インターネット回線(WAN)
無線LAN環境を整える上で、まず欠かせないのがインターネット回線(WAN)です。
オンラインゲームを楽しむなど、インターネットに接続して無線LANを活用するには、
この回線が必須となります。
「LAN」はご家庭や職場などの限定されたネットワーク環境(ローカルエリアネットワーク)を指しますが、インターネットのように広範囲にわたるネットワークは「WAN」(ワイドエリアネットワーク)と呼ばれます。
無線LANルーターは、このWANからのインターネット接続を、ご家庭やオフィス内のデバイスに無線で分配する役割を担っています。
LANとWANの違いについて、さらに詳しい情報や図解は、こちらの記事で解説しています。
無線LANルーター/ルーター
ルーターは、ネットワーク間でデータパケット(データを送受信する単位)を転送する装置です。インターネットへの接続ポイントとなり、送られてきたデータパケットが正しい宛先に到達するようにルーティング(通信経路を制御)します。
ルーターについて詳しい情報は、こちらの記事で解説しています。
スイッチングハブ
スイッチングハブは、ルーターで足りないLANポートを補完して複数のデバイスを有線ケーブルでつなぎ、ネットワークを形成するための設備です。
データを特定のデバイスだけに送信することで、ネットワークの効率を上げ、データの衝突を防ぎます。
アクセスポイント
アクセスポイントは、ルーターと無線ネットワークを接続する設備で、無線LANの基地局のような役割を果たします。これにより、無線で接続するデバイス(スマートフォンやノートPCなど)がルーターのネットワークにアクセスできます。
家庭用はルーター機能とアクセスポイントが一体化していますが、企業向けは別になっていることが多いです。以下の2つのタイプがあるので、自社に合った方を選びましょう。
タイプ | 特徴 | 対象 |
---|---|---|
自立型 | 暗号化やローミングなどの各種設定が可能 | SOHOや小規模事業所向け |
集中管理型 | コントローラーを利用してアクセスポイントを複数管理できる | 中小企業や大企業向け |
企業の場合、多くは集中管理型を導入しています。通信状況の確認や遠隔での設定変更などが可能な管理ツールもあるため、複数の拠点がある企業にもメリットがあります。
無線LANルーターの選び方4選

無線LANルーターを選ぶ際は、以下のポイントを意識してください。
- 通信速度をチェックする
- セキュリティ機能をチェックする
- 接続台数をチェックする
- 対応するインターネット回線をチェックする
通信速度をチェックする
まず重要なのが、通信速度です。
ストレスなくインターネットを使えるのはもちろん、
業務効率化にも直結するので重要なポイントとなります。
選ぶ際は、以下の4つの規格に注目してください。
通信規格 | 新名称 | 周波数帯 | 最大通信速度 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
IEEE 802.11n | Wi-Fi 4 | 2.4GHz, 5GHz | 600Mbps | MIMO(複数のアンテナを使ってデータを並列に送受信する技術)を初めて採用。速度と範囲が大幅に改善。 |
IEEE 802.11ac | Wi-Fi 5 | 5GHz | 6.9Gbps | Wi-Fi 4に比べて速度が大幅に向上。5GHz帯域のみを使用。 |
IEEE 802.11ax | Wi-Fi 6 | 2.4GHz, 5GHz | 9.6Gbps | 一度に多くのデバイスをサポート。速度と範囲がさらに向上。 |
IEEE 802.11ax | Wi-Fi 6E | 2.4GHz, 5GHz、6GHz | 9.6Gbps | 新たに6GHz帯域を使用可能に。混雑した環境でも高速な通信を可能にする。 |
IEEE 802.11be | Wi-Fi 7 | 2.4GHz, 5GHz、6GHz | 46 Gbps |
最新の規格ほど高価で、速度も優れています。コストにも関わってくるので、自社に合ったものを選びましょう。
セキュリティ機能をチェックする
ルーターのセキュリティー機能(ファイヤーウォールやフィルタリング)等も重要ですが
ルーターと接続する無線LAN機器が対応する暗号化方式にも注意しましょう。

近年発売されているスマートフォンはWPA-3と呼ばれる最新の暗号化方式に対応していますがニンテンドーDSやPSPなど古い世代のデバイスはWEPキーやWPA-2までしか対応していないことが多いです。
またよりセキュリティー強度の高い高度な暗号化方式を使用する場合、
WPS「Wi-Fi Protected Setup」が機能しなくなることも覚えておきましょう。
接続台数をチェックする

無線LANルーターにメーカーが開発時に使用するチップやコアなどの設計上安定して通信が行える最大同時接続数をパッケージに明記していることが一般的です。
この値は、超えても接続は可能ですがルーターの設計上安定して通信が行えず「途切れる・低速になる・切断される」などの通信不安定が発生する目安を記載しています。
ですので使わないときはデバイスを切断し可能な限り接続台数が少ない状態で運用することも重要ですが大人数の場合あらかじめ同時接続数が多いものを選ぶのもポイントです。
対応するインターネット回線をチェックする
無線LANルーターを選ぶ際、見落としがちなのが、お使いのインターネット回線がルーターと適切に連携するかどうかです。
特に、ルーターが対応するIPv6/IPv4通信方式は、快適なインターネット利用に大きく影響する場合があります。
例えば、導入コストが比較的低い「フレッツ光」シリーズを利用している場合、契約しているプロバイダーによって提供されるIPv6 over IPv4「IPoE」サービスの方式が大きく異なります。
IPv6 over IPv4 (IPoE方式):
- IPv4の通信をIPv6のネットワーク経由で行うことで、混雑を避け、より高速で安定した通信を実現する新しい接続方式です。
- 認証サーバーを経由しないため、回線が混雑しにくく、特にオンラインゲームや高画質動画の視聴など、安定した大容量通信が求められる場合に効果を発揮します。
- この方式を利用するには、ルーターがIPoE方式に対応していること、そしてプロバイダーがIPoEサービスを提供していることの両方が必要です。
フレッツ光とプロバイダーの組み合わせ
フレッツ光を利用している場合、プロバイダーが提供するIPoEサービスの具体的な内容(例:V6プラス、クロスパスなど)によって、対応ルーターの機種や設定方法が異なります。ルーターを選ぶ際には、ご自身のプロバイダーが提供するIPoEサービスが、検討しているルーターと互換性があるかを事前に確認することが非常に重要です。
対応していないルーターを選んでしまうと、IPoEによる高速通信の恩恵を受けられなかったり、最悪の場合インターネットに接続できなかったりする可能性もあります。
ルーターの購入前には、必ずプロバイダーのウェブサイトやサポートで、推奨されるルーター機種や設定方法を確認するようにしましょう。
悩んでしまった場合はHGW(ホームゲートウェイ)一択
快適な無線LAN環境を構築するには対応する通信規格や通信速度などルーターの性能を重点的に考えて選択することが一般的ですが前述の通り対応するインターネット回線も確認し適格に選択する必要があります。
それらを踏まえて選択に悩んでしまった場合は、NTTやauなど回線事業者画提供するHGW
を活用するのも有効な手段です。
ホームゲートウェイは、無線LANルーター、ONU、ひかり電話を一つにまとめた家庭用ホームルーターの一種で回線事業者とのレンタル契約やひかり電話契約で提供を受けることができます。
費用もNTT製品である場合は月額500円と高性能ルーターを無理やり買うよりも安いですし二重ルーターと言った制限設けず市販ルーターみたいにルーターとしての機能を無効化する必要がないので面倒な設定をせずに使用できます。
故障・不具合時の対応もプロバイダーやNTTが対応してくれます。
環境はそれぞれ異なるので、自分に合ったタイプを選んで快適なネットワーク環境を構築しましょう。